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壁掛けレジンアートパネルの納品〜野村不動産様へ3物件への納品〜

本日は野村不動産様 新規マンション3物件に納品させていただいた、
壁面レジンアートパネルのプロジェクトについてのご紹介です。

本日ご紹介の作品3枚はこちら


プラウド府中晴見町


プラウド府中グレイス


プラウド府中八幡町

こちらの3作品への思いを含め、製作風景をご紹介させていただきます。

今回納品させていただいた野村不動産様との打ち合わせは2024.4月のことでした。
今回の建物の敷地に生えていた、地主様が大事にしていた欅を使用しての作品製作とのご希望。
そこに生えていた木を使用しての作品製作にこだわりたいとのことで、そのような気持ち非常に好きです。

そこにその欅が生きている時間、その欅は多くの人に愛されてきたと思います。
それがマンションとなっても、各エントランスで生き続けるなんてとても素敵ですね。
製作への困難度はMAXですが、丸太を見ながらの打ち合わせです。

この丸太1本で3作品を製作します。
制限はこの丸太ということ、3物件分製作するということ。
この丸太を見て、あなたならどうしますか?

全体的に見て素直な丸太でありながら手前側に入り皮になっている部分があります。
それ以外は基本的にシンプルな動き。
木材内部を想像しながら、この一枚板と会話してこいつの魅力を確認しました。

この丸太を見て3物件分、それぞれ異なるデザインイメージを組み立て、担当者様へお伝えし製材していきます。

まずは輪切り状にチェーンソーでカットしてもらいます。

このように他の部分とは異なるラインでカットし、輪切り状にします。

メインの丸太の部分の製材ラインも指定させていただき、製材してもらいます。
レジン作品では木の変化が作品のアクセントとなりますので、その入り皮の入り方を決めるのもこの製材が命!
通常は製材(丸太のスライス)は一枚板が市場に置かれる前に、その製材のプロが一枚板の状態や取れる枚数、その他多くのことを考慮して製材してく価値のある一枚板を多く確保してくれます。

今回は考えが全く逆で、丸太の状態から作品のイメージを組んで、より良いデザインになるようにラインの指定をさせていただきました。

普段は重要視しないこの一番外側の樹皮のラインも今回の作品には最重要!
何いってんだコイツ?
と思われてしまったかもしれませんが、一発目のノコギリの当てで全てが決まるので、作品から逆算で製材お願いました。

2本の丸太なので、一番側面は4枚しか取れないためヒヤヒヤです。
ですがそうやって確保できた樹皮は最高にかっこよかったです!!

普通の考えからすると、この側面の部分は捨ててしまう部分なので、
危うく弾かれてしまうところでした!
「あっ!そこ使います!!!」
その様な感じで確保できた材がこちら!

通常の板材と辺材の丸太の感じを演出できる部分を確保できました。

あともう半分は製材ラインを指定させていただき、詳細の打ち合わせを実施させていただきました。
木材は製材したばかりの生の状態では水分を含みすぎていて使用できません。

通常2〜3年自然乾燥し人工乾燥させるのですが、今回は納期まで一件目は1年もありません。
他の物件も1年半後には完結する必要があります。
その点を踏まえ、乾燥を早めるために木材を作品制作に可能な限界まで薄くし、乾燥の早い輪切りを最優先の作品として進める算段となります。

こういった内容を1人の判断では不安になりますが、製材実施してくれた会社の代表の方のアドバイスがあってこそです。

確保できた輪切の木材がこちら!

あなたの目にはどう映っているでしょうか?
この木材があればよい作品製作することが可能です。

むしろこの材を確保してできるデザイン先行でこちらの形状の材を確保したという流れです。

木として生きていた時はこのような形状で生きていました。
自然のありのままの形状をなるべく保つ方が美しいので、このラインを残しながら花のような形状を演出します。

このような下向きのデザインも考慮しましたが、最終的に決定したのは下記のようなデザインの作品です。

花をイメージし、他の追加木材は特に入れないデザインとしております。
レジン比率が高いですが、モヤっとしたデザインとすることでレジン部分にも個性を持たせます。

しっかりと事前調整ののち製作に進みます。

クリーンルームへ木材移動しレジンの流し込みを準備します。
レジンを流し込むと木材は浮くのでしっかりとクランプで抑えます。

レジン流し込み前に木材をレジンでコーティングする方法があります。
その方法をするとレジンと木材の密着性が損なわれ、後々の剥離リスクが大きくなります。
RESIN SPACEでは基本はそのコーティングを実施しません。
その分木材から気泡は出た状態で硬化するリスクがありますし、他のデメリットもコントロールする必要があります。

経験値の少ない方にはおすすめしませんが、よりお客様の方向を見た木材・レジンのプロの製作方法です。
木材に応じて適切な方法で流し込みを実施し、クオリティーの高い作品を製作します。

このようにレジンの比率が多い部分、レジンの比率が低い部分とムラがあると、硬化時にレジンの温度の差が発生します。
レジンは体積に応じて、使用するレジンに応じて硬化時の発熱のはしりが異なります。
その辺り全てをコントロールする必要があります。

このようにこちらの作品の硬化を進めます。

次は残りの2作品の準備を進めます。

1年弱の自然乾燥期間と人工乾燥を経て木材の準備が完了しました。
想像以上に完璧な状態で乾燥完了しました。
通常この期間での自然乾燥は短すぎるのですが、納期が決まっていましたので作品に必要な厚さ、乾燥時の反り、反りが強い場合でも高周波プレスにて補修できることを考慮して、ギリギリの厚みで乾燥進めたのも大きな要因です。

作品を製作する私と、木材乾燥を進めて頂いた社長様の経験あっての仕上がりです。

使用する予定の一枚板を工場へ引き上げ、早速デザイン案の検討です。

私が大事にしているのは自然の美しさを表現するという点です。
シンプルに見える一枚板でも、全ての一枚板は必ず特別な個性があります。
そこを見つけてデザインかけてあげるのが、デザイナーの私が大事にしている点です。

木が好きだからこそできる点であり、そこは絶対に譲れない点です。

このような耳をデザインで使用できたら最高だな、と思いながらの撮影です。
野村不動産の方へPDFでデザイン案を送り、そこで決定いただくので、複数パターンどのデザインになってもデザイナーとして自信を持ってご提案できるように全てに本気で挑みます。

シンプルながらも特徴ある木材を上下・左右対称にしたデザイン!

こちらは荒々しさを最重要視したデザイン!
自然の様子を最大限に表現した配置です。
このデザインを中心に、いくつかの組み合わせをご提案させていただき、最終的に上記の写真のデザインに決定し製作進めました。

今回の作品は樹皮の印象が非常に重要なのですが、木材部分と樹皮は基本的に剥がし、樹皮は一枚板として使用しません。
本体と樹皮の間に虫がつきやすいですし、収縮率も異なるため下記の写真のように剥がれることが多いです。

今回はこの樹皮が大事なので、剥がれている部分を、生きていた時のように戻してあげます。

レジンを使用して、貼り合わせます。

後々の剥離に対しても十分すぎる対策をとって、樹皮を合わせレジンの流し込みの準備をします。

良い状態で流し込み前準備ができました。

その後レジンの準備をします。
先ほどようよう、モヤっとした印象のレジンを調整します。
今までその配合を隠してきましたが、このページのみでご紹介します。

黒くてモヤっとした演出は普通黒いピグメントという顔料を入れて作ります。
ですがそれでは演出具合が私は好きではなく、上記のように黒のレジンを製作し、そこに白やゴールドを混ぜます。

設置する環境を考慮して微調整しますが、このような調整をすることで、奥行き感・深み・顔良部分とクリア部分の差があることでの美しさを演出できます。

マンションの壁面の色味を考慮しながら色の調整をします。

バッチリ仕上がっています。

次は最後の壁面アートパネルの製作に進みます。

上記写真の樹皮が表面にある丸太の最端の樹皮耳の部分を使用します。
そんなこと言われてもイメージできませんよね?

このデザインのイメージは下記の通りの、樹皮デザインです。

このような部分は厚みの管理が非常に難しいんです。
レジンパネルなので厚みの制限がありますが、薄くする場合、どんどん木材の印象がなくなっていきます。
その厚さを管理しながら、美しいデザインを完成させていきます。

緑が生い茂る、欅並木をイメージしたデザインで、丸太を見て一番製作したかった作品です。

先ほど同様樹皮と、木材本体部分の剥離があるため、丁寧に元の状態へ戻してあげます。

樹皮にレジンを塗って本体の木材と樹皮を合わせます。
合わせても樹皮と本体の間に空気の層がありますので、その空間にもレジンが入るような流し込みをしていきます。

ここまで完璧にきました。
ここから最下層は緑のイメージ。手前をクリアにして木の立体感と新緑を演出していきます。

今回は裏に点検口があるため、裏への透過度のコントロールが非常に重要です。
透過度が強すぎると点検口の印象がわかり、透過しないと木のシルエットがわからなくなってしまう。
その絶妙な色を調整するために、アクリル板にecopoxyのロゴを貼り、透過度をコントロールします。

入念に色を調整し流し込みます。

色の印象を確認しながら微調整していきます。
塗料メーカーが出している緑は一式持っていますが、どれも単体では理想ができません。
私の理想を叶えるため、3色準備し、メイン・アクセント・調整と若々しい新緑の緑を演出していきます。

若い家族が入居されるマンションのコンセプトを理解してのデザインです。

最高の色味で最終の流し込みまで完了しています。
全て完璧な作品で硬化しました。

きのシルエットがギリギリ分かる程度の新緑の緑!

単調な緑ではなく複雑に、美しい欅並木の緑の葉を彷彿させるい複雑な緑が演出できております。

そうして3枚の作品を製作チームが丁寧に研磨し、完成・納品させていただきました。

3作品を野村不動産様の府中の新築マンションへのうひんさせていただきました。
設置写真撮影させていただきましたので、ご紹介させていただきます。

プラウド府中グレイス

マンション入り口に入って正面にある作品。
角ばったシルエットが多いマンションに、欅の丸みのある湾曲がとても優しく見えます。
自宅でただいまを言う前に、この作品に言いたくなる。
そんな優しさのある作品に仕上がりました。

 

プラウド府中八幡町

メインの道路からも見えるこちらのアートパネルは欅の入川と、レジンの川の部分が印象的なラインに見える作品です。
近寄ってよく見ると欅の樹皮の印象が美しく自然を感じる壁面アートパネルです。

シンプルながらも、木のラインに優しさを感じる一枚となりました。

 

プラウド府中晴見町

大型マンションのエントランスに存在感と異質を佇む作品です。
入居者様の動線で一番目似つく場所に配置して頂いております。
入居者さまはもちろん、来客するすべての方にここのマンションの価値をより引き立たせてくれる存在かと思います。

緑のレジンにそのまま奥行きがあるかのように、徐々に欅の立体感が消える様は、私が目指しイメージした通りの作品となりました。

マンションが建つまで、この土地を生きていた欅がまた、アートパネルとなって生き続けます。
その自然への感覚、自然を生かす考えも含めてアートです。
このアートパネルをご覧いただく皆様に、日々の癒しを少しでもお届けできれば幸いです。

 

今回は野村不動産様の府中の3物件のプロジェクトに、アートパネルとして製作させていただきました。

すべての始まりはこの荒々しい丸太から。
丸太の状態から異なるデザインの3作品のアートパネルを製作させていただき、デザイナーの私としても非常に良い経験になると同時に、
多くの能力を引き上げる経験となりました。

一枚板となった状態からデザインをかけるのではなく、丸太の状態から製材し、板状になったときの表情も想像しながらのデザインでした。
普段は丸太の製材はしないい為、難しさはありましたが、気が好きすぎで様々な勉強や趣味レベルで多くの製材所をみてきた経験から、想像通りの結果を製作することができました。

レジン作品はイメージできても、それを確実なクオリティー、想像通りの色味で完結するのは皆様が想像する以上に難しい作業です。
100kgの作品を壁掛けする等、多くの壁がありましたが、RESIN SPACEチームでこの課題をクリアし、チーム全員一回り成長できたかと思います。

まだ野村不動産さまの製作は続きますので、引き続き気を引き締めて製作進めます。
自然の力強さと美しさをまだまだ引き上げるセンスを磨いていきます。

これからもRESIN SPACEの活動を定期的にご確認ください。
過去の作品も面白いものばかりですので、下記の関連記事ブログをご覧ください。